お店を始めた時に絶対やりたかったことのひとつが、漆器の試用。
漆は体験型の商品です。
見ただけで良さを知ることが出来ません。
使ってみて、時間と共に段々分かってくる、手放せなくなる、そんな「経験値と比例する」ところが漆の分かりにくいところ。
未経験の方には想像するのが難しい部分ですが、
ワンコインで買える気軽さも無いので、
未経験の方はずっと未経験。それじゃあいつまでたっても分かってもらえないので、店頭で体験してもらおうと作ったのがこちらのカップです。
木村正人さんに、来店客の年齢層を伝え、容量を決め、
形は女性の小さな手でも握りやすい太さで、
飲みやすく汁だれしにくい反り口で…と、
工芸品はほぼオーダーメイドの世界なので、
店主が思う使い易さを形にしてもらった湯のみカップです。
漆器は木の器。木は自然の断熱材。
だから熱いものは熱いまま、冷たいものは冷たいまま、
最後まで飲めます。冷たい飲み物の時は結露もしにくいです。
そんなことを、雑談しつつで体験してもらいます。
日本人は取手のない器で飲む文化がありますが、
つまり「器の手触りを味わう文化」かと思います。
未使用の商品と比べて、手触りの柔らかさが増すことや、
艶や光沢の変化が見えてくれば、「育てる楽しみ」にも
気がついて…と雑談も盛り上がる店内。
「初めての漆器、最初はお椀を」と勧める方が多いですが、
多分一日で出番の多い器は、カップ類。
それで、店主はカップをおすすめしております。
シンプルな塗立は、飽きが来ない仕上げ。
最初の漆におすすめです。
そして、もうひとつ。
中年以上の年齢の方は、段々と食器の重さが煩わしくなり、
1回に飲食する量も減りますから、
お誕生日や父の日母の日の贈り物におすすめしております。
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余談ですが、出会ってから2年近くになったお客様が、
「いつもお茶をいただきながら、やっぱりいいなと思って」
と赤いカップを自分用にとお買い求めいただきました。
それは、それは、嬉しかったです。
※お店でも販売しているため、タイミングが悪いと
在庫がなくなる場合があります。あらかじめご了承をお願いいたします。