おろし金　あたり金　鬼おろし

金工・和彫りの零工芸さん。

細い銀生地に総柄で模様を彫り込んだアクセサリーや、和彫りであまり見ない漢字の名入れなど、細やかな細工が得意な零工芸ですが、おろし金の目起こしも上手。

アクセサリーを作るのとは別な才能が必要なのに、小器用な職人だなと思います。

銅生地の錫引き～目起こし～文字入れ～持ち手曲げと全行程を零工芸の和田さんが手作りしております。

錫引きですが、錫を溶かして塗りつけることで、メッキとは違うそうです。塗膜に厚さがあり、メッキよりはげずらい→丈夫で長持ち。

銅に錫、他社のおろし金もそういう仕様が多いですが、銅だけよりも表面の耐食性が増す→丈夫で長持ちする他に、銅だけだと金気臭さが出るので、風味を守るためもあるそうです。

おろし金は「あたり金」とも呼ばれ、江戸時代には縁起物だったそうです。金と銀で確かに金運上がりそうな縁起物に見えなくもない（笑

結婚祝/誕生日/長寿祝い/お料理好きへの贈り物/料理男子/宝くじを買う方へ/金運の縁起物

表面の、粗くて強そうな目を見て、私の中の長年のもやもやが解けた気がしました。

当店、竹製の鬼おろしも扱っており、自分でも使うのですが、100均で売ってる樹脂製のおろし器や、セラミック製のおろし器を使うよりもおろす時に力が必要だし、食材を動かす角度なり、コツが必要。

出来上がった大根おろしの姿は、鬼おろし製が特別粗く見えるでもない。でも明らかに、細かい歯でおろした大根おろしは、水気が多くてベシャベシャ。鬼おろしの方は水気を逃さずふんわりしているといえばその通り。

それに、鬼おろしだと、少量おろしたいと思っても、小さい欠片ではおろしにくいので材料はある程度太くて長く用意しなければならないので、樹脂やセラミックのおろし器に手が出るのも自然な事だなと思っていました。

零工芸さんの零おろしは、表面は金属の目の鋭さで気持ちよく、ざくざくおろせる作業性に、鬼おろしの粗さを加えた名品。裏面は薬味おろしの細かい目になっております。

銅の地金も2ｍｍと厚く、持つと重みも加わって、おろす時に持ちやすく、作業中に安定感があります。

巷の両面おろし金だと、薬味も表でおろしても変わらない気がして、両面あるけど片方だけで良かったかなと思うぐらいなので、このぐらい目の粗さが違うと、両面使い分けの意味合いもはっきりするし、両面ちゃんと使ってもらえるなと思いました。

大根以外の野菜をおろしたり、りんごや梨といった果物をおろしたり、ざくざくとおろせる気持ち良さを楽しんでくだいませ。