奈良在住の若手塗師、阪本修さんの漆の器。
彼の器は「漆っていいよね」と布教するに当たり、非常に巧妙な戦略をベースに作られているように感じて注目いたしました。
ご覧の通り、とてもカラフル。
漆のしっとりした色合いや手触りを知っている人にすると、何やらプラスチックっぽい印象にも映りかねないほど、洋風の色調。そして、形状はスタッキング出来る洋食器そのもの。
これを見た時に思ったのが、
「普段、漆を使ったことがない方で、手に取る気にもなったことがない若い方に、漆と思わないで使ってもらえないかな」ということ。
もしかすると、木の器と思わずに
手に取る方もいるかもしれません。
漆を広めたいと言いながら、本末転倒?
いえいえ、そんなことないのです。
木地に直接漆を染み込ませて下地代わりとする「搔合せ」技法で作られているので、手に取ると、器の表面に木地の木目が感じられます。
使っているうちに「ああ、これは木の器なんだ」「漆ってこんな感じなんだな」とジワジワっと分かってもらえるはずなのです。
自分のライフスタイルやファッション、感性を変えてまで、よく知らないものをわざわざ買って使う人はいないですからね。
それと知られず、その方の日常に紛れ込んでいけそうな阪本さんの漆の器は遅効性の成分で、気付いた時にはすっかり漆ファンになっちゃうというストーリー(黒笑
食洗機や電子レンジはNGですが、傷を怖がったりせず、手入れに神経質にならずに、おおらかに使っていただけたらと思います。
同色で組にしてもよし、好きな色を組合せてもよし。
色遊び、楽しんで下さい。
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富沢寿美子 (火曜日, 12 3月 2019 07:36)
小雪からお名前を。漆芸好きです。作品を興味深く拝見しました。実際に手にとって拝見したいです。何よりも爽やかな阪本修氏の笑顔に安心しました。お人柄が作品に現れている事でしょう。お元気でご活躍下さい。