柘植の櫛

画像は実家に帰省した時に、母の美容室で見つけた柘植の櫛。何やら薄汚いのは、長い間しまい込まれ、当時の油が劣化したりでシミができているから。

 

母は美容師です。
いわゆるカットにパーマと言った今どきのスタイルの他に、日本髪を結ったり、花嫁の着付けをしたり、一人で何でもこなすオールマイティな個人商店・事業主。個人商店としては私の大先輩です。

まだ花嫁さんを作ったりしていた頃、この櫛は使われておりました。年末年始の片付けの最中に見つかり、大事にしまっておいてももったいないから使う?と言われ、もらってきた品。

普段、樹脂製の櫛やブラシを使っており、目の粗い木製の櫛の何がいいのか分かっていませんでしたから、体験してみようと思ってもらってきたのです。

柘植の櫛って、買うとなると案外高いですしね。

一度洗って乾燥させて、油を摺りこんで、使い始めて感激。洗い髪でも乾いた髪でも引っかかることが少なく、数回でサラサラと櫛通りが良くなり、びっくりするぐらい抜け毛が減ったのです!

 

艶が増し、髪が柔らかくしなやかな感触。道具が違うだけでこんなに変わるものかと、どこか信じられないぐらいの変化です。もっと早くに柘植の櫛の良さを知っていたらと思うほど、気持ちのいい使用感でした。

もっと櫛の歯の細かい物を使うと、もっと良さが実感出来るそうですから、近々探求しに出掛けなくては!と思いました。


私の大好きな漆もそうですが、体験型の商品は、高価なものほど使ってみて初めて良さが分かります。でも高価だから手が出にくく、知る手前で選ばれずに選択肢から消えてしまうイメージ。でもね、いいものは、いいのですよね。

 

古いものは必ずしもいいとは限りませんが、理屈なく、使えば分かるというのなら、今のライフスタイルに取り入れていいと思います。そこの辺りを、私がまず体験してみて、いいと思ったらご紹介する、それが店主としての使命でもあるのかなと思いました。