明るい街

(2012年3月9日08時54分  読売新聞)

 

「率直に言うと、がっかりしています」――。日本国籍を取得した日本文化研究者のドナルド・キーンさん(89)は、8日の記者会見で「鬼怒」の雅号通り、震災後の日本の状況にあえて苦言を呈した。


  「日本人は力を合わせて東北の人を助けると思っていました」。会見で終始朗らかなキーンさんだったが、震災の話になると表情が引き締まった。そして、「東京は(電気が)明るい。必要のない看板がたくさんある。東京だけではない。忘れているんじゃないか。まだやるべきことは、いっぱいあると思います」と語った。

 


はっとする記事でした。

私は震災直後、実家のある福井県に移動したのですが、開業準備を再開すべく東京へ戻った時に、駅も街も暗いことに違和感を感じ、こんな時期に開業なんてあり得ないのかもしれないなと不安になったのを思い出しました。

 

当時は確かに暗かったのです。

そして、現状は震災前と変わらぬ東京。

 

価値観や生活様式の「パラダイムシフト」が起こったように思えたのですが、人間は平安が変化することには抵抗するものなのですね、一瞬変わったようでも元にもどる。つまり、暗い街は受け入れられたようで我慢していただけということだったのかなと思います。

 

私は原発反対派ですが、原発容認派の方でも、資源を「必要なだけ使う」ことに反対する方はいないと思います。あの時停電したり節電したりしながらも、死なず生きられたことを思い出せば、究極的にダメはないはず。

 

ドナルド・キーン氏の「やるべきことはいっぱいあるはず」というのは「何について?」というところが記事では抜けておりますが、ひとつのこと、一義的なことを言いたい訳ではないと分かります。つまり、問題は複雑なのですが、その複雑な問題を考えて続けていくべきだよねとキーン氏は指摘しているのだと私は思いました。

 

私に出来ることは何かな?

私が今すぐ出来ると考えたことを実行出来ているかな?
そんな振り返りを促す記事で、はっとしました。