漆は、紫外線に反応して色が透けてきます。
日に焼けるのです。焼けると濃くなるのではなく薄まるのが漆の面白いところ。塗立ての頃は、仕上がりの色よりも黒っぽいもので、その先にこんな色になると想像しながら塗師さんは色を作ります。
うちの店で並べているお椀やお皿も、最初は真っ黒くて模様の色がはっきりしない状態で、箱を開けて検品した時には「この状態で検品したところでいいのかどうか分からない…」と思ったものです。それが、半年もしたら明るく透けて来て、だんだん色が鮮やかになり、手板で見ていた印象通りになりました。
店にある漆の色の中で、その色の変化が一番分かりやすいのが「白」です。画像は、倉庫で日に当たっていない大椀と普段店頭に陳列している汁椀を重ねたところ。明らかに色の違いが分かるかと思います。
開業当初、こんな風に大小を重ねて置いていたところ、内側の汁椀の日に当たるところと当たらないところの色の差が出てしまい、慌てたことがあります。
それで、均一に透けさせたいと思い、
画像のように重ねずに陳列していたのですが、気がつくとお客様が重ねて下さるのです。片付かない印象に見えていたのかもしれませんね。気がつけば、重ねずに並べ直していたのですが、お客様達は次々と重ねて帰るのです。
こちらの事情はお客様には分かりませんから、重ねずに並んでいる様子が落ち着かなかったのでしょうね。都度、また並べ直しです。追いかけっこ。
思い出すと、笑いが浮かぶ思い出。
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