「世界征服」は可能か?/岡田斗司夫 著
私は退行催眠を受けたことがあります。過去世なるものが分かるなら、知りたいと思って受けたのです。その時に、いくつか見えた(感じた)人生の中で、争いを嫌い他人との交流を重荷に感じていたお金持ちの男性というのがありました。
死んでから、魂になって守護霊と思わしき存在達と「今の人生から学んだこと、次に学びたいことはあるか?」という会話をしている自分。
その人生で最愛の妹だった魂が「お兄ちゃんはもっと人を蹴落としても自分のことを守れば良かったのに」と言われ「それでも、人と争うのは嫌だ、絶対に嫌だ」と言っていました。
今の私も価値観は似ていて、「世界征服」なんて真逆な欲望なので、自分では考えることが面倒ですが、他人が考えたことをのぞき見する楽しみで読んでみました。
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岡田さんらしいというか、アニメや漫画を題材に、世界制覇にもいくつかタイプがあって~と分類。各タイプ、デメリットはこんな感じ、という突っ込みが面白い。
私は「独裁者タイプ」が近いのですが、独裁者だと独裁者個人のキャパしかないのがデメリット。組織が大きくなり成功すればするほど独裁者ひとり忙しくなり、忙しいが他人に任せられずにどんどんしんどくなる・・・・読んでいてリアリティぎらぎらです。
「支配とはなにか?」という考察も面白かったです。
支配と聞くと、ひと・モノ・金を思い通りにすることと単純に思っていたのですが、ただ搾取していたら枯渇していくので、枯渇しないように管理しなくてはいけない。すると、結構面倒見ないと継続するのが難しいから、恐ろしく労力がかかると予想がつきます。
今の世で、世界征服するとなると、グローバル化と情報化が進んで国境(くにざかい)が無いようなものですから、人種に文化の違いもるつぼ状にのみこまなくちゃいけないし、一般人はそれぞれ発言もする考えもするから言いたいこと言いますし、支配するにもハードルが高くて堪らない感じがします。
やるだけ無駄に思えてきます。
それだけの苦労をして成し遂げる世界征服にどんな価値があるのだろうか??
視点を変えると、征服は現状を変化させること。今いいとされている価値観をそれと違うものに置き換える行為。『今の世で悪とされるXXを、善とうけとれる○○に置き換えるのも世界征服』とすることもありな訳ですね。
そう思ったら、世界征服、悪事だけじゃないですから、無駄でもないような気がしてきます。
岡田さんの結びは、『今現在の「幸福」と「平和」にノーを言うこと。新しい「幸福」と「平和」を世界に宣言すること。これが新時代の世界征服への合言葉です。』
例えば。
競争社会で生き残ることが大事という価値観。
蹴落とす相手がいなけりゃ幸せになれないってのは、相手が居ないと幸せになれないって点で、他人に幸せの主体をもっていかれてると思います。
征服、支配は過去は悪の象徴でした。
現代の征服は、善だって征服出来るぞって可能性を感じさせてくれます。
ちょっと面白い本でした。
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